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2026年度(令和8年度)の労務関連法改正について
2026.03.23労務管理
2026年4月から2027年3月の人事労務に関わる法改正事項の一覧を公開させて頂きます。
本年度は注目されていた労働基準法の改正は国会の審議が間に合わずに見送りとなったため、実務的に大きな影響のある法改正は限定的です。
ただし、以下の4項目は企業の「給与計算業務」「就業規則の改定」「採用・雇用管理」に直結するため、準備と実務対応が求められます。(※表内の水色ハイライト項目)
1. 「子ども・子育て支援金」の徴収開始と「被扶養者認定」の見直し
2026年4月より、公的医療保険の保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金(保険料率0.23%)」の労使折半での拠出が始まります。
また、社会保険の被扶養者認定(いわゆる130万円の壁)において、残業代や賞与などの「臨時収入」は含めず、労働条件通知書等の契約内容(基本給等)で見込年収を判定する運用に変更されます。
2. カスタマーハラスメント等の対策義務化(就業規則・社内体制関連)
近年社会問題化している「カスタマーハラスメント(顧客等からの著しい迷惑行為)」や、求職者・インターンシップ生に対する「就活セクシュアルハラスメント」を防ぐための措置が事業主に義務付けられます(2026年10月施行)。
方針の明確化や相談体制の整備など、就業規則(ハラスメント防止規程)の改定や社内研修の実施が必要となります。
3. 障害者法定雇用率の引き上げ(採用・雇用管理関連)
2026年7月より、民間企業の障害者法定雇用率が2.5%から「2.7%」へ引き上げられます。
これに伴い、雇用義務の対象となる企業規模が「従業員数40人以上から37.5人以上」へと拡大されます。
4. 女性活躍推進法の対象拡大(情報公表関連)
これまで従業員数301人以上の企業に義務付けられていた「男女間賃金差異」や「女性管理職比率」の情報公表が、2026年4月より従業員数101人以上300人以下の企業にも義務化されます。
対象となる企業様は、各データの算出と公表に向けた準備を進める必要があります。
その他労働安全衛生法や男女雇用機会均等法、国民年金・厚生年金法も改正されますので以下よりご確認ください。
| 法律名 | 概要 | 内容 | 施行時期 |
|---|---|---|---|
| 安全衛生法 | 機械等による労働災害の防止の促進等 | 登録機関や検査業者の適正な業務実施のため、不正への対処や欠格要件を強化し、検査基準への遵守義務を課す。 | 2026年1月1日 |
| 営業秘密である成分に係る代替化学品名等の通知 |
化学物質の成分名に企業の営業秘密情報が含まれる場合において、有害性が相対的に低い化学物質に限り、代替化学名等(※)での通知が可能。 ※代替化学名等:当該成分の化学名における成分の構造または構成要素を表す文字の一部を省略・置き換えた化学名などを言いますが、詳細な代替化学名等の表示方法などについては国が指針を定める予定。 |
2026年4月1日 | |
| 高齢者の労働災害防止の推進 | 高年齢労働者の労働災害の防止のため、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、作業管理などの必要な措置を講ずることが事業者の努力義務。 | 2026年4月1日 | |
| 混在作業場所における元方事業者等への措置義務対象の拡大 | 建設業や造船業、製造業の特定元方事業者が行うべき作業間の連絡調整等労働災害を防止するための措置(総括管理)の対象が「自社の労働者および関係請負人が雇用している労働者」から、「個人事業者等を含む作業従事者」に拡大。 | 2026年4月1日 | |
| 特定機械等の製造許可及び製造時等検査制度の見直し |
ボイラー、クレーンなどに対して義務付けられている製造許可申請の審査において、今まで都道府県労働局長が行っていた特定機械等の設計が構造規格に適合しているかの審査(製造許可申請の審査)については、登録を受けた民間機関が行うことが可能。 また、製造時等検査においても、移動式クレーン及びゴンドラについては登録を受けた民間機関が検査を行うことが可能。 |
2026年4月1日 | |
| 個人ばく露測定の精度担保 | 危険有害な化学物質を取り扱う作業場の個人ばく露測定について、従来では作業者にサンプラーを装着して測定を行っていたが、「個人ばく露測定講習」を修了した作業環境測定士による測定が義務化。 | 2026年10月1日 | |
| 業務上災害報告制度の創設 |
個人事業者等が労働者と同一の場所における就業に伴う事故等により、死亡、又は休業(4日以上)した場合には、所轄労働基準監督署が情報を把握できるよう、特定注文者(※1)または災害発生場所管理事業者(※2)が必要事項の報告をすることが義務化。 また、中小企業の事業主や役員の業務上災害について、所属企業は所轄労働基準監督署に遅滞なく報告することを求められる。 ※1 特定注文者:労働災害に遭った個人事業者に仕事を発注し、かつ当該事業者と同じ場所で仕事を行なう事業者 ※2 仕事を自ら行う事業者であって、業務災害発生時に個人事業者が仕事の作業を行っていた場所を管理するもの |
2027年1月1日 | |
| 健康保険法 | 被扶養者の認定における年間収入の判定方法の変更 |
被扶養者の認定における年間収入について、臨時収入(時間外手当、賞与)は含まず、労働条件通知書に記載されている契約内容によって、見込まれる年間収入により判定を行う。 ※Q&Aあり |
2026年4月1日 |
| 子ども・子育て支援金 |
令和8年4月保険料より子ども・子育て支援金に係る保険料率0.23%を拠出(労使折半)。 ※Q&Aあり |
2026年4月1日 | |
|
国民年金保険法 厚生年金保険法 |
在職老齢年金の見直し | 一定の収入のある厚生年金受給権者が対象の在職老齢年金制度について、支給停止となる収入基準額を50万円(令和6年度価格)から62万円に引き上げる。 | 2026年4月1日 |
| 障害者雇用促進法 | 法定雇用率の見直し | 障害者の法定雇用率2.5% → 2.7%に引き上げ、それに伴い雇用義務が課される企業規模が対象労働者数40人→37.5人へ変更。 | 2026年7月1日 |
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労働施策総合推進法 男女雇用機会均等法 |
ハラスメント対策の強化 |
①カスタマーハラスメント(※)を防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務を明確化する。 ※職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境を害すること ②求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務を明確化する。 ③職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて国民の規範意識を醸成するために、啓発活動を行う国の責務を定める。 |
2026年10月1日 (③は2025年6月11日) |
| 治療と仕事の両立支援対策の努力義務化 | 事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。 | 2026年4月1日 | |
| 女性活躍推進法 | 女性活躍の推進 |
①男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表を、常時雇用する労働者の数が101人以上の一般事業主及び特定事業主に義務付ける。 ②女性活躍推進法の有効期限(令和8年3月31日まで)を令和18年3月31日まで、10年間延長する。 ③女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に配慮して行われるべき旨を、基本原則において明確化する。 ④政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策を位置付ける。 ⑤女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし)の認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることを追加する。 ⑥特定事業主行動計画に係る手続の効率化を図る。 |
①⑥は2026年4月1日 ②~④は2025年6月11日 ⑤は2026年10月1日 |
| 税法(主に所得税) | 物価上昇局面における基礎控除等の対応 |
・物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みを創設し、これに基づき、 所得税の基礎控除について、合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額を4万円引き上げる。また、所得税及び個人住民税の給与所得控除について、 65万円の最低保障額を69万円に引き上げる。 ・所得税の基礎控除等の特例について、合計所得金額が655万円(令和10年分以後の各年分にあっては、132万円)以下である場合の基礎控除の控除額の加算額を以下のとおりとする。 - 令和8年分及び令和9年分:合計所得金額が489万円以下である場合 42万円 / 合計所得金額が489万円を超える場合 5万円 - 令和10年分以後の各年分:37万円 ・給与所得控除の最低保障額を5万円引き上げる特例を創設する(所得税:令和8年分及び令和9年分、個人住民税:令和9年度分及び令和10年度分) |
2026年1月1日 |



